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平成28年度三重県地域生活定着支援事業実施計画書(抄)

平成28年4月21日

1 基本的な考え方

 当センターの事業目的は、矯正施設に入所している障がい者や高齢者で、福祉支援がなければ生活が成り立たない方に対し、福祉支援を行うことで安定した生活を実現し、そのことで再犯の防止に寄与することとします。ただ、既に矯正施設を退所した方や、起訴されなかった方についても、福祉支援が必要で当センターの関与が求められる場合には支援対象とします。
 当センターの支援の対象となる方は、障がいや高齢のために社会生活がうまくいかず、生活困窮に陥って犯罪に至った方ですが、その原因は様々です。人間関係の形成や計画的な金銭消費に課題があったり、いろいろな依存症が背景にあったり、認知のゆがみが原因であったりします。そこで、支援の根幹には、支援の対象となる方への理解が必要となりますが、福祉支援を行う以上、その支援が受け入れられなくてはなりません。支援対象者に敬意をもって対応し、自尊感情を醸成しなければなりません。支援は支援対象者との人間関係の形成を通じて行われるものだと考えて支援をしていきます。
 当センターの支援の目標は当センターだけでは決して達成できるものではありません。地域での幅広い協働がぜひとも必要です。行政や福祉機関、更生保護の機関だけにとどまらず、様々な人や機関の協力が必要です。しかし、当センターが対象とする方たちは地域的な結びつきを持たない方がほとんどです。こうした方たちを地域に包摂するためには、地域に密接に根差した活動が不可欠です。地域との結びつきを大切にした支援を展開します。
 また、犯罪は必ずしも生活の破たんに根差したものだけではありません。しかし、障がいや高齢に伴う認知の衰えがその克服を困難にしておれば、福祉支援がそのために有効であるかもしれません。その際にも、対象者個人の深い理解と支援者との関係生成、それに地域との結びつきの形成を通じて再犯のない生活を目指します。


2 実施体制(支援方法・内容等)

1)コーディネート業務について
  矯正施設内から支援を始めるのだが、制限された特別の環境のなかで対象像を理解し、ニーズを把握し、関係性を補することはとても難しい。しかし、矯正施設内での関係形成がその後の支援に大きな影響があることを鑑み、コーディネートに際して、面談の内容と回数を重視して取り組む。
 また、支援対象となる方は、居住地のなくなっている方がほとんどなので、福祉制度を実施してくれる市町村を確定することが重要となる。これまで、協力関係の構築や受け入れルールの形成に努力してきたが、福祉支援を効果的に実施するにはまだまだ解決しなければならない課題が多い。今後とも、具体的な支援を通じて、また、会議等を通じてより効果的で実効性のあるものにしていく。
 また、支援対象者は未成年から80歳と幅広く、支援に必要とされる知識技術も、児童支援、障害支援、高齢者支援と多様である。センターの常勤職員の力だけでは対応が困難であるので、支援のネットワークを広げたい。
さらに、コーディネートを効果的に進めるためには、矯正施設との連携も欠かせない。矯正施設の協力を得られるように努める。更生保護の関係も、保護観察所との連携を深める。
司法分野と福祉分野との連携は今後一層重要となるが、定期的に開かれる、矯正施設や保護観察所等との連絡協議会を一層有効に活用して、コーディネート業務を進める。


2)フォローアップ業務について
  当センターの支援は、ただ矯正施設の退所に当たって支援対象者に、住む場所や介護の施設を提供するだけでは終わらない。真に居場所を見つけて定着するためには長い時間が必要である。そのため、息の長い支援が必要である。
 矯正施設にいる間に、何回面接しても、やはり、矯正施設内での様子と出所後ではかなり異なる場合が多い。出所後急に様態が変化することもある。支援対象者の抱える、暮らしにくさは、生活環境との間の適応状態に基づくものであるので、具体的な支援は矯正施設出所後に始まると言ってもよいので、フォローアップは欠かせない。
支援対象者を受け入れた福祉施設等においても、その処遇に困惑することもある。そうした場合は、支援対象者への直接的な支援とともに福祉施設等への助言等を行うこととなる。居宅での生活の場合は、当センターの直接関与がかなり多くなる。しかし、直接的な支援と同時に、地域での支援体制を築き、調整しながら支援することとする。
それでも、支援対象者の抱えている課題は深く、当センターや福祉機関の支援も有効性を欠く場合もある。そうした、困難な事例に対して、地域の様々な機関や人々が参画して、そうした事例を通じて地域自体の変革が可能になるように、当センターはそうした支援ネットワークのコーディネーターとして寄与できるようにしたい。
こうしたことから、コーディネート等の事例について、一律にフォローアップの期限は設けず、個別に判断して必要な支援は継続することとする。


3)相談支援業務について
 24年度に相談事業の対象が、矯正施設を出所した者に限らず、起訴猶予や執行猶予、保護観察中の者にまで拡大された。このことや、当センターが広く認識されてきたことから、相談件数が増えてきている。
三重県地域生活定着支援センターでは、幅広く対象をとらえて、罪を犯した高齢者や障がい者の地域での生活が進むように支援するものとするため、今後とも各種の相談には積極的に応じていきたい。
 そのために、支援は矯正施設出所後にとどまらず、出所前の課題にも取り組むこととなる。既に検察からや弁護士からの相談も受けて対応はしているが、そこには司法の領域と福祉支援の領域とが複雑に絡むので、何らかのルールが必要と考える。保護観察所とも連携を密にして取り組んでいく。
 また、矯正施設においても、種々の理由から特別調整対象として上げにくい場合があり、その場合においても福祉支援が必要な場合には直接相談に応じる。

平成27年度三重県地域生活定着支援事業実績報告書(抄)

1 事業概要  

(コーディネート事業)
27年度で特別調整対象者あるいは一般調整対象者として出所等に当たりコーディネートした件数は25件で、うちコーディネートを終了したものは21件であった。コーディネート終了したものの内訳では、県内に帰住した件数は20件で、県外の病院に入院したものが1件であった。
県内帰住先では、救護施設が8件で一番多いが、内4件は早期にアパートに移っている。その他ではサービス付高齢者向け住宅への入居が4件、病院、障害者施設、自宅、ケアハウス、自立援助ホーム(児童)がそれぞれ1件である。更生保護施設及び自立援助ホームへは3件であるが、うち1件はアパートに、1件は県外のケアハウスに移り、1件は県外の高齢者施設に帰住する予定である。
27年度はとりわけ高齢者の比率が高く76%を占める。中でも体の不自由さや認知症及び深刻な疾病を抱えた高齢者が多かった。介護保険認定を行ったのは5件で、内、サービス付高齢者向け住宅への入居は4件だった。刑務所内での状況把握には限界があり、正確な疾病の状況や介護の程度についての把握がなかなか難しく、今後に課題を残した。
より地域生活の質を上げるため、アパートへの入居を進めた。入居したのは5件で、内4件は救護施設から、1件は更生保護施設から移っている。いずれも保証人がいない状態で確保できた。ただ、いずれの方についてもアパートでの生活を維持できる力があるのかどうか不安は強い。フォローアップの重みが増すこととなった。
福祉制度の活用にあたっての課題は相変わらず大きい。特別調整対象者とされる人のほとんどは居住地が無いか曖昧であった方なので、市町村単位で組み立てられている福祉制度を利用する時に問題が生じやすい。救護施設等介護保険対象外施設にいる方が介護保険施設に移る事情が生じた場合や生活保護法の実施と更生保護法での保護との間で優先順位をめぐりもめた場合などである。一旦救護施設に入所した人が、保護の実施機関の管轄外に居住地を設定する時の困難もあった。
このように課題は残っているが、一般的には行政や福祉諸機関の受け入れはずいぶんよくなった。当センターが受理した案件については、すべて出所までにコーディネートは終えることができた。以前のような、刑務所から出てきたと言うだけで拒否されるようなことは少なくなった。

(フォローアップ)
 支援対象者が真に地域で安定した生活を営むことができるようになるにはフォローアップが不可欠である。
 27年度にフォローアップした件数は44件であった。また、同年度内でフォローアップを終了した件数は15件であった。終了した者の内、亡くなったのは3件、再犯によるものは1件、その他は施設で落ち着いている方やフォローアップの課題が無くなった方である。フォローアップの期間は様々で、長いものだと5年以上になるものもある。一方、家に帰った方や県外の病院に入院した方等、フォローアップが不要だったケースもある。
フォローアップが長くなる方は、施設に馴染みにくい方、問題をたびたび起こす方、支援なしでアパート暮しが困難な方等である。アパートでの暮らしでは、当センターの支援がなければ全く孤立してしまう方も多い。こうした面では市域での支援に全く移行すると言うわけにもいかない。
面接回数でみると、フォローアップ中の件数が約300件に対し矯正施設入所中の面談は約100件である。フォローアップの比重が高いことがわかる。

(相談事業)
相談支援件数は、27年度は23件である。
うち10件は刑務所から直接支援依頼を受けて帰住先調整した経緯があるもので、27年度に直接依頼を受けたのは6件である。同年度中に不起訴や執行猶予により帰住先調整をしたものは4件である。その他は保護観察所や福祉事務所などからの相談によるものや当人からの相談、その他以前からの相談案件等である。
傾向としては、矯正施設からの直接相談が多い。検察から不起訴などにより帰住調整を依頼されることは少なくなった。更生緊急保護により保護観察所で処理されることが多くなったようである。

(啓発活動)
啓発事業については、27年度は広報誌「つながり」を1回発行した。

3 支援をした者の状況

区    分

支援した人数

(実人員) 

相談支援件数

(延べ件数)
左記のうち、福祉サービス等に
繋がり地域において
日常生活又は社会生活を
営むことができた者
高齢者(認知症者)  7 48 7
高齢者(上記以外) 26 176 19
身体障がい者 2 33 2
知的障がい者  10  63 8
自閉症者 1 52 1
発達障害者 3 22 2
精神障がい者(うつ病、統合失調症)  5 25 3
精神障害者(上記以外)   0 0 0
アルコール・薬物  4 39 2
その他   2 37 2
 合   計  60 495 46


(参考)
27年度実績(厚生労働省報告から)
1.コーディネート業務(一般及び特別調整対象者)
支援継続中件数(28年度持越) 7 0 合計 7 うち一般調整 0
年度内支援終了件数 20 1 21 1
  県内帰住 20 1 21 1
他センターへ依頼 0 0 0 0
2.フォローアップ業務
  支援継続中件数(28年度持越)   24 5 合計 29
年度内支援終了件数 15 0 15
3.相談支援業務
年度内相談支援継続件数(28年度持越) 5 0 合計 5
年度内相談支援終了件数 16 2 18

2015年度 地域生活定着支援センター事業計画

基本的な考え方 

 当センターの事業目的は、矯正施設に入所している障がい者や高齢者で、福祉支援がなければ生活が成り立たない方に対し、福祉支援を行うことで安定した生活を実現することとします。ただ、既に矯正施設を退所した方や、不起訴などで矯正施設に行かずにすんだ方についても、福祉支援が必要で当センターの関与が求められる場合には支援対象とします。
 当センターの支援対象となる方は、人間関係を失っていたり、障がいや特性を理解されずにきた方が多いので、福祉の制度を利用するだけではなく、人間関係の形成を通じて対象者の障がいや特性を理解する必要があります。同時に、長く社会的に不適応な生活を営んできた結果、考え方や行動に社会での生活を営む上では不適切なところがある場合があるので、その修正を図る必要もあります。
 一方、支援対象の方の多くが居住の場を失っているところから、福祉制度を実施する自治体が見つからないこともあります。どの自治体とも福祉の利用者を積極的に受け入れることは少ないので、当センターの事業はそこに特別の困難があります。また、一般に犯罪者への偏見が強いので、福祉施設でも受け入れには抵抗を示します。さらに、障がいと犯罪が結びつくと障がいへの偏見とあいまって、社会からの排除の動きともなりかねません。
 以上のように、当センターの業務は一方に、当の支援対象者との関係性を手掛かりに、福祉諸制度を利用しながら、こうした人の生活の安定と全人格的な成長を促すことにありますが、他方では、地域に働きかけて、排除の傾向を排し、犯罪や障がいへの偏見を克服することにもあります。

 そこで当センターの事業運営については、次の点に留意して進める。

  • 罪を犯したからといって蔑むのではなく、尊厳ある個人として敬意をもって接する
  • 社会で最も不利な立場にある人たちの福祉支援の理念を向上させるように努める
  • 障がいや高齢の方の福祉支援にとどまらず、再犯を防ぐ司法の観点からも支援技術の向上に努める
  • 福祉諸制度とともに司法の分野の制度理解にも努め、司法と福祉にわたる諸課題を理解して、支援に生かす
  • 行政諸機関との連携を密にし、当センターが担う課題の一つである社会的排除の克服をめざす
  • 罪を犯した障がい者や高齢者の問題、あるいは罪を犯して障害者や高齢者になった方たちの福祉の在り方について、福祉諸支援機関との連携を図り支援ネットワークの形成を図る
  • 司法と福祉の問題について、当センターの業務について、広報に努め啓発を行い、地域の理解を広める


実施体制(支援方法・内容等)

1)コーディネート業務について
 矯正施設内から支援を始めるのだが、制限された特別の環境になかで対象像を理解し、ニーズを把握し、関係性を補することはとても難しい。しかし、矯正施設内での関係形成がその後の支援に大きな影響があることを鑑み、コーディネートに際して、面談の内容と回数を重視して取り組む。
 また、支援対象となる方は、居住地のなくなっている方がほとんどなので、福祉制度を実施してくれる市町村を確定することが重要となる。これまで、そのルールの策定(援護の実施責任の所在)に努力してきて、一応のルールは確立してきたが、福祉支援を効果的に実施するにはまだまだ解決しなければならない課題が多い。今後とも、具体的な支援を通じて、また、会議等を通じてより効果的で実効性のあるものにしていく。
 また、支援対象者は未成年から80歳と幅広く、支援に必要とされる知識技術も、児童支援、障害支援、高齢者支援と多様である。センターの常勤職員の力だけでは対応が困難であるので、支援のネットワークを広げたい。
さらに、コーディネートを効果的に進めるためには、矯正施設との連携も欠かせない。矯正施設の協力を得られるように努める。更生保護の関係も、保護観察所との連携を深める。
司法分野と福祉分野との連携は今後一層重要となるが、定期的に開かれる、矯正施設や保護観察所等との連絡協議会を一層有効に活用して、コーディネート業務を進める。

2)フォローアップ業務について
 当センターの支援は、ただ矯正施設の退所に当たって支援対象者に、住む場所や介護の施設を提供するだけでは終わらない。真に居場所を見つけて定着するためには長い時間が必要である。そのため、息の長い支援が必要である。
 矯正施設にいる間に、何回面接しても、やはり、矯正施設内での様子と出所後ではかなり異なる場合が多い。出所後急に様態が変化することもある。支援対象者の抱える、暮らしにくさは、生活環境との間の適応状態に基づくものであるので、具体的な支援は矯正施設出所後に始まると言ってもよいので、フォローアップは欠かせない。
支援対象者を受け入れた福祉施設等においても、その処遇に困惑することもある。そうした場合は、支援対象者への直接的な支援とともに福祉施設等への助言等を行うこととなる。居宅での生活の場合は、当センターの直接関与がかなり多くなる。しかし、直接的な支援と同時に、地域での支援体制を築き、調整しながら支援することとする。
それでも、支援対象者の抱えている課題は深く、当センターや福祉機関の支援も有効性を欠く場合もある。そうした、困難な事例に対して、地域の様々な機関や人々が参画して、そうした事例を通じて地域自体の変革が可能になるように、当センターはそうした支援ネットワークのコーディネーターとして寄与できるようにしたい。
こうしたことから、コーディネート等の事例について、一律にフォローアップの期限は設けず、個別に判断して必要な支援は継続することとする。

3)相談支援業務について
 24年度に相談事業の対象が、矯正施設を出所した者に限らず、起訴猶予や執行猶予、保護観察中の者にまで拡大された。このことや、当センターが広く認識されてきたことから、相談件数が増えてきている。
三重県地域生活定着支援センターでは、幅広く対象をとらえて、犯罪に絡んだ、高齢や障がい者の地域での生活が進むように支援するものとするため、今後とも各種の相談には積極的に応じていきたい。
 そのために、支援は矯正施設出所後にとどまらず、出所前の課題にも取り組むこととなる。既に検察からや弁護士からの相談も受けていて、具体的に対応はしているが、そこには司法の領域と福祉支援の領域とが複雑に絡むので、何らかのルールが必要と考える。保護観察所とも連携を密にして検討しながら取り組んでいく。
 また、矯正施設においても、種々の理由から特別調整対象として上げにくい場合があり、その場合においても福祉支援が必要な場合には直接相談に応じる。


4)困難事例の取り組み、課題が残ったときの解決方法について
 現在、困難事例に関しては、事前に行政機関や福祉支援相談機関等、多方面の機関に相談している。今後とも、相談できる機関を広げたい。
隔月には、矯正施設や保護観察の機関を含めた連絡協議会を開催しているので、そうした機会には事例の検討などを行う。
また、当センターでは、助言者等による事例検討会を月に1回程度開催している。そこでは、困難事例を重点的に検討し、必要に応じて直接的な援助も依頼している。
さらに個別の困難事例については援助の過程で、市町や地域の援助機関との間で協議や検討会議を開催し、多面的な関与により解決を図ることができるようにしている。
課題が残った場合には、支援のネットワークの中でフォローしていくこととしている。

普及啓発活動

開 催 時 期 内          容

通年


通年

地域生活定着支援センターの事業に関する啓発文書の作成配布(定着だより等)。
ホームページの更新に努める。

各種研修会や講演会での地域生活定着支援センター事業の説明。

 

2014年度三重県地域生活定着支援事業実績報告書(抄)

1 事業概要  

成果
(コーディネート事業)
26年度で特別調整対象者あるいは一般調整対象者として支援し、県内に帰住した件数は21件であった。県外の定着支援センターに調整依頼したのは1件、支援を辞退したものが2件であった。昨年度に県内帰住の件数が12件であるので今年度は大幅に増えている。
県内帰住先では、救護施設が9件と、一番多いが、内3件はアパートに移るために一時的な利用であり、他に1件障がい者グループホームに移行したものがある。主な帰住先としては自宅・アパート、障がい者グループホームと救護施設となる。
コーディネート事業においての困難は、福祉制度の実施者と受け入れてくれる福祉施設等の確保にある。
福祉制度の実施者の問題は、かなり改善してきたが、まだまだ課題は残っている。完全なルール化は困難であるので、各自治体の理解を求めていくことが必要である。今回救護施設に入所した人で介護保険施設への移行の場合の実施者の問題があらたに意識されたが、このように、居住地を失った人たちの権利回復には制度上検討すべき課題は多い。行政等に解決を依頼する必要がある。
引き受け福祉施設の確保には日常的に困っている。どうしても、救護施設への入所が多くなる。また、障がい者のグループホームの利用も多いが、なかなか広がっていかない。
救護施設から他の施設への移行も考えたいが、先に述べた実施者の課題があり、スムーズにはすすまない。
26年度には、アパートへの入居が多かったが、保証の問題などがあり、津市以外では進めることが難しい。また、アパートへの入居では、当該支援対象者が適切な居住生活を営めるのかの不安があり、居宅支援が必要なことが多い。その場合はどうしても当センターの負担が大きくなると言った問題がある。

(フォローアップ)
フォローアップについては、当センターは期間を定めずに支援継続している。理念的には地域の機関に支援を移行させることが必要であるが、それに努めても、再犯防止等の特別の課題ある上、地域機関のサービスですべてを網羅できるとは限らないので、当センターの支援は不可欠の場合が多い。また、たとえ福祉施設を利用しても、もともと出所者は人間関係が薄く、当センターの職員との交流を励みにしていることが多い。その結果、通院や通所支援、あるいは日常生活上の支援など当センターが直接支援に携わることが多くなっている。
結果、26年度のフォローアップ件数は40件であり、年度内終了件数はそのうち9件である。フォローアップ件数は年々増加している。
そうした中には、利用していた障がい者グループホームでうまくいかなくなり、他の受け皿を探さなければならなくなったり、介護の必要が高くなり、救護施設から介護施設への移行が必要になったケースもある。こうした場合もどうしても当センターが中心に進めざるをえない。

(相談事業)
相談支援件数は、26年度は21件である。
うち3件は刑務所から直接支援依頼を受けて帰住先調整したもので、5件は検察から依頼を受けて帰住先調整をした。弁護士から依頼を受けて釈放後の居所を定めたものが1件である。保護観察所から出所後等の支援依頼は5件である。その他は刑務所や医療少年院からの支援依頼、福祉事務所や弁護士からの支援依頼である。
相談事業の27年度の特徴は、弁護士からや検察からも相談が多くなったことである。不起訴となるが住所がない高齢、障がい者の居住先を確保する相談がおおいが、当該対象者の状況がよくわからないまま帰住先を見つけることは困難が大きい。検察からのこの種の相談は、窓口を保護観察所としている。

(啓発活動)
啓発事業については、27年度は講演会を実施した。参加者は120名で、内容への評価も高かった。今後継続実施を求める意見も多かった。また、ホームページの更新に努め、広報誌も作成した。

2 実施体制(支援方法・内容等)

1)コーディネート業務について
 支援依頼があると担当者を決め、センター長とともに矯正施設にて本人と面接を重ね、ニーズを把握し、関係形成に努める。福祉を実施してくれる市町村を確定し、利用できる制度の活用を進める。本人とその関係者等との関係を調整する。必要に応じて、支援調整の地域での打ち合わせ等を開催する。
 支援の内容としては次の通り。
・市町村・県等と援護の実施責任の調整
・フォーマル福祉サービス・インフォーマル福祉サービスの調整
・入所施設の確保
・入院病院の確保
・身体障害者手帳・療育手帳・精神保健福祉手帳の交付申請
・年金調査・申請

2)フォローアップ業務について
 矯正施設を退所し県内に帰住した者のほとんどについてフォローアップを実施してきた。必要の都度の面談、また、必要な場合の入退院、通院の付き添い等の直接支援。地域関係者等との処遇会議の開催。その他、施設やアパート等での定住のために必要な支援を行っている。
 矯正施設にいる時とは環境が全く違うので、地域で生活を始めてからが本来的な支援となる。当初準備して利用を始めた福祉施設ではうまくいかない場合もあるし、想定しなかった当人の課題が浮き彫りされる場合もある。福祉施設等の環境に問題がある場合もある。フォローアップでは、様々な課題に多様な面から対応することとなる。従って、フォローアップはどうしても長期にわたることになる。当センターではフォローアップの期限は設けていない。

3)相談支援業務について
刑務所からの直接相談、検察や保護観察所、弁護士からの相談が増えている。相談の中身は不起訴等になった場合の帰住先を探すことが結構多い。コーディネート事業と同じように担当者を決めて支援を行う。拘留期限内で帰住先を見つけなければならないこと、本人への面接が一般面接で、時間が非常に短いことなどのため、本人の状態像を把握することさえなかなか困難がある。さらに、十分な情報が提供されるわけでもなく、困難が大きい。
しかし、当該要支援者は福祉支援を要しているわけなので、積極的に対応していくこととしている。ただ、無制限に引き受けることもできないので、検察からの相談は一旦保護観察所にあげてもらっている。その中で精査した結果、支援することとしている。
支援後にフォローすることについては矯正施設からの事例の場合と変わらない。
他に、矯正施設を出た後、精神病院に入院している事例等の相談は受けている。

4)困難事例への取り組み、課題に対して取った措置について
 当センターでは、すべての事例はセンター長に集中するようにして、適時支援進行に対してセンター長がスーパーバイズを行っている。また、常時支援に関する協議や、支援の基本姿勢についての話し合いを行い、一貫した支援姿勢で臨める体制をとっている。
また、協力していただける専門家数名と協力関係を持ち、定期的に事例の検討会を開催して、アドバイス等を求めている。
 その他にも、各種行政機関や相談支援機関等との連携を深めて、困難事例や課題に対する支援を依頼している。
 このように、日常的にネットワークの形成に努めることで、困難事例や課題に対応していっている。

3 支援をした者の状況

区    分

支援した人数

(実人員) 

相談支援件数

(延べ件数)
左記のうち、福祉サービス等に
繋がり地域において
日常生活又は社会生活を
営むことができた者
高齢者(認知症者)  10 57 8
高齢者(上記以外) 15 135 11
身体障がい者 5 28 4
知的障がい者  14  91 9
自閉症者 1 60 1
発達障害者 2 14 0
精神障がい者(うつ病、統合失調症)  9 71 5
精神障害者(上記以外)   4 49 4
アルコール・薬物  5 37 4
その他   0 0 0
 合   計  65 542 46

2014年度 地域生活定着支援センター事業計画

1、個別支援の充実

  • 支援に関する理念の確立
  •  支援を行う上でのスタンスを確立すること
  •  支援の意味を当事者主体に深める
  •  個別支援にかかる倫理規範の習得、個人情報の管理の習得
  • 支援にかかるスキルの向上
  •  面談の重視、主体的な行為の重視する面談技術の向上
  •  障がいの特性、社会福祉制度など必要な技能の取得
  •  当事者理解に資する調査スキルの向上
  •  再犯防止や逸脱に至らない支援に関する知見の向上
  •  関係機関との協調の向上、関係機関理解の向上
  • 支援評価の確立
  •  個々人の発達の視点、満足の視点からの評価
  •  福祉的環境の構築の面からの評価


2、支援ネットワークの充実

  • 受け入れ施設等の拡大に努める
  • 個別支援検討会の充実
  • 地域相談機関や行政との連携の強化
  • センターへの支援者や機関の拡大


3、啓発活動の促進

  • 啓発誌の発行
  • ホームページの充実
  • 講演会やセミナーの開催
  • 各機関開催の研修会等への参画

2013年度地域生活定着支援センター実績


(コーディネート事業)
25年度で特別調整対象者として支援したのは17件であった。
25年度に支援した一般調整対象は2件であるが、1件は年度中に帰住先がなくなり、支援内容は特別調整対象者に等しい。他の1件は受け入れの家族や地域調整を要したものである。
また、相談支援事業においても、2件は矯正施設から直接相談されて事例である。ともに帰る家はなかった。時間的な関係から特別調整等にならずに支援を行った。
結局、矯正施設から支援を行い帰住地を定めた事例は20件になる。うち県内に帰住したものが12件、支援を始めたが福祉支援の必要がなく支援依頼を辞退したものが1件であった。残りの7件が26年度に引き継がれた。
コーディネート事業において県内に帰住できた件数は24年度と大きく変わることはないが、実際の支援件数は24年度が17件であることと比べて若干増えている(17件→20件)。
最も増えているのは翌年度への継続件数である。24年度は2件であったのが25年度は7件になっている(2→7件)。25年度中には支援着手に至らなかった特別調整受理が3件あるので、26年度持越し件数は10件になる。25年度後半から特別調整等のコーディネート事業件数が伸びているためである。

(相談事業)
次に相談事業であるが、25年度は24年度から引き継いだ7件に加え、7件の新規相談を受けている。引き継いだもののうち2件は精神病院からの退院調整である。また、新規相談のうち2件は矯正施設からの直接出所調整依頼であり、これはコーディネート事業に含めて説明した。そのほか弁護士から依頼された2件は起訴に至らなかったもの及び執行猶予となったもので、帰る先がなかったので支援の必要があったものである。また、保護観察所から依頼されたもの等がある。
 相談事業の25年度の特徴は、司法界で矯正施設に収容される前の段階での課題に関心が寄せられ、弁護士からや検察からも相談が寄せられた。相談だけでなく、検察庁や弁護士会から研修講師の依頼もあった。ただ、起訴前等での相談となると時間や面接方法、あるいは提供資料の制約があり、十分な対応は困難である。しかし、現実に困難に直面している方がいると対応せざるを得ず、今後に課題を残している。

(帰住支援実績)
出所等が26年度になるものを除いては、すべてについて出所前に帰住先が決まった。内訳は救護施設5件、障がい者施設等3件、アパート1件、有料老人ホーム1件
 特別調整対象者の障がい別内訳では高齢が10件、障がいが7件と、高齢者がやや多い。新規相談事例では高齢3件に対し障がいが4件である。フォローアップも含めた全体では半数以上は障がい事例が占める。ただ、高齢者の場合も、知的障がいや依存症などの精神障がいがある事例が多く、全体に障がいへの配慮が重要となる。
 高齢者の中には、末期がんを患っていたり、出所後に急に病状の悪化や介護の必要度が上がった方がいる。高齢者の介護への対応は全く不十分で、介護施設の利用のスムーズな利用等、今後の課題が大きい。

(フォローアップ)
 フォローアップについては、当センターは期間を定めずに支援継続している。理念的には地域の機関に支援を移行させることが必要であるが、それに努めても、再犯防止等の特別の課題ある上、地域機関のサービスですべてを網羅できるとは限らないので、当センターの支援は不可欠の場合が多い。また、たとえ福祉施設を利用しても、もともと出所者は人間関係が薄く、当センターの職員との交流が励みになっていることが多い。その結果、県外で保護を求めている方や警察で拘留された方を迎えに行ったりすることもあるが、こうした一時的な迷いがあってのちに落ち着く方もあることを考えると、人によってはフォローアップを含めてコーディネートの支援が継続されるのだと考えたほうがよいだろう。高齢でアパート暮しになった人もいるので、支援を終了させる機会がないまま、認知症が進み、最後は当センターの職員が最期を見届けるようなことにまで至った事例もある。今後とも、可能な限りは、必要で、かつそれを望まれる方については、フォローアップは続けたい。

(支援方法)
 直接の支援結果は以上の通りであるが、結果とともに支援のプロセス、方法が重要である。その支援方法については次のことに重点を置いてきた。①面談の重視②主体的行為の重視③支援ネットワークの形成④普遍的福祉課題に昇華させ福祉土壌の向上に寄与する。
面談の重視については、矯正施設での面談回数を増やしており、その結果、出所後の関係の維持や再犯防止に役立っている。また、主体的行為を重視するということでは、当の支援される方たちの自尊感情を大切にして、支援が押し付けにならず、また、支援―被支援が上下関係にならず、本人の主体的行為を通じて、支援が地域生活を可能にする当センターとの共同作業になることを目的としている。25年度、多くの方が当センターとの関係維持を望み、再犯もなかったことをみると、主体的行為を重視した支援の成果はあるとみられる。
地域ネットワークの形成では、協力者の幅は広くはなってきて、地域支援検討会の数も多くはなっているが、実際に引き受けてくれる施設の数は増えてはいない。また、啓発面での弱さも関係していると思われ、今後、関係機関等への周知を広げ、より親密なネットワークの形成に努める必要がある。
最後に、普遍的な課題に昇華する面では、これは理論的な向上と行政的な改善が中心であるが、司法福祉学会への参画や行政機関との協議会の開催等を行い努めてきた。

(啓発活動)
啓発事業については、25年度にセミナー開催などを考えていたが、個別支援に忙殺され、事業企画面での力量の乏しさなどで実現できなかった。ホームページの更新もままならず、広報誌の作成も1回にとどまった。今後、啓発事業に努める必要がある。

支援実績の推移(コーディネート事業・相談事業)

 

特別調整対象者

特別調整終了


一般調整
対象者
( )内調整済


相談

( )内は帰住調整したもの(再計)


県内帰住先

(出所直後)

津保護
観察所から

他都道府県
センターから

県内
帰住

県外
セン
ター
依頼

辞退等

22年

13
高齢      6
身体障害  3
知的障害  3
精神障害  1


知的障害  1

3 

 

1(1)
高齢        1

3(2)
高齢        1
知的障害  1
その他   1

救護施設   2
病院     1
障害施設等  1
住宅     1
自宅     1
他        1

23年


高齢        3
知的障害  2
精神障害  1


高齢      3

4(4)
知的障害  3
精神障害  1

2(1)
精神障害  1
その他   1

救護施設   4
障害施設等  4
住居     2
自宅     1
他        2

高齢        1
知的障害  1

24年


高齢      2
知的障害  4
精神障害  1


高齢      2
知的障害  1

3(2)
高齢        1
知的障害  2

8(2)
高齢      3
精神障害  5

救護施設   5
障害施設等  2
住居     1
病院     1
自宅     2
婦保護    1
他      1

高齢      1
その他   1

25年

13
高齢      8
知的障害  3
精神障害  2


高齢        2
精神障害  2

 


知的障害  1

7(4)
高齢      3
知的障害  4

救護施設   6
障害施設等  4
住居     1
自宅     1
他              1

高齢3、知的障害1、精神障害4、その他1

内訳  高齢 34、障害41(身体障害 3、精神障害14、知的障害24)、その他 2  ※重複調整後